7月末、上越地域に甚大な被害をもたらした集中豪雨は、我々の予定にも大きく影響した。
事前にJRのHPで運行情報を確認したのだが、昨日の今日ということで、災害情報の発信が間に合っていなかったようだ。
乗車予定の磐越西線は、山間部が不通。やむなく、長距離をタクシー会社と交渉して、20000円かけて、山麓の民宿へ辿り着く。
◎8月2日の行程
川入の民宿は、早朝より小白布沢の短縮登山口まで送ってくれるので、とても助かる。
飯豊は、ドコから登っても急登な為、初日が一番きつい。三国岳まで約4時間を要した。
稜線に出れば、適度なアップダウンで花々に癒されながら本山小屋へ。
小雨模様の中、三国岳より約1時間半で切合小屋に着く。
小屋周辺からは、マツムシソウだらけ。
ちっちゃいが、自生のイチゴは甘酸っぱくてウマイ。
姥権現。
姥権現を通過すると、チョットした岩稜を越え、もうひと頑張りで予定の本山小屋だ。
本山小屋から見た、右端の飯豊山、中央に御西岳と左端の大日岳へと連なる伸びやかで美しい山並み。
明日からの縦走も、とても楽しみだ!
そして、夕日。
縦走2日目は、本山小屋から門内小屋まで約8時間ほどの行程。
決してハードな行程ではなく、適度なアップダウンと花畑の稜線漫歩だ。
花の咲き具合はイマイチだったが、それでも十分楽しめた。
稜線の足元には、幾つもの深~い谷が刻まれている。
玄人のみに許される、恐らく桃源郷であろう。
好天に恵まれた。
飯豊山頂上にて。
目指す、烏帽子岳とその陰に門内岳、そしてくさいぐら尾根と梶川尾根が重なる。
2つの尾根の間の谷が、有名な石転び沢だ。
端整な飯豊山の影が、これから向かう稜線に伸びる。
飯豊連峰最高峰の大日岳が、でっかく正面に聳え立つ。
ニッコウキスゲの大群生地を進む。
振り返れば、眩しい飯豊山と美しい縦走路。
烏帽子岳へ向かって伸びやかな稜線が続く
爽快なハーモニーを奏でる、
ニッコウキスゲ&ブルースカイ
大日岳をバックに御西小屋付近に広がるチングルマの群生
御手洗の池から見た、
烏帽子岳・梅花皮岳と左奥が北股岳
烏帽子岳付近のハクサンコザクラ。
こんな花畑が、ず~っと。
写りが悪いが、ウスユキソウと
飯豊山の固有種 イイデリンドウ
順調に門内小屋に到着。…と同時に一雨くる。
夕刻には雨も上がり、雲海と夕日。幸せなひととき、だが
焼酎の無いさみしい一夜だった。
遥かな山並み、飯豊連峰に別れを告げ、
地神山経由で丸森尾根を下る。
遠く、朝日連峰を眺めながら、蒸し暑そうな下界へ急勾配をドンドン下れば、気温はドンドン上昇。 パンツまでビショビショ。
飯豊山荘で温泉&祝杯!
8月に入って北アルプスは、天候不順が続いていた。
我々も、2日間ほど風雨に見舞われたが、天候は回復し夢のような稜線漫歩を楽しめた。
23日/立山駅~室堂…一の越…ザラ峠…五色が原山荘。
室堂はガスッて視界悪く冷たい雨が降っている。
初日スタートは、ヤヤ意気消沈。
五色が原山荘では、きれいな夕日にうっとり。
24日/五色が原…スゴ乗越小屋
赤牛岳の背後に小さく槍の穂先と、右端に目指す笠が岳が遥か遠くに。
スゴ乗越小屋まで、歩き難いアップダウンが続く。
スゴの頭とデッカイ薬師岳。
25日/スゴ乗越小屋…薬師岳…太郎平小屋
薬師岳越えは、風雨。
な~んにも見えず寒いのでサッサと下る。
26日/太郎平…黒部五郎岳…黒部五郎小屋
本日も、ど~んより。 時折雨に打たれ、景色見えずひたすらモクモクと歩く。
黒部五郎のカールに降りた頃、ガスが晴れ始め気分も晴々。
北ア中心部の山岳が手に取るように見える。
天候はドンドン回復。
威風堂々の黒部五郎岳
黒部源流の山々。
足元に黒部源流、そして対岸に横たわる雲の平。
その向こうに、水晶岳~鷲羽岳。
既に花期を終えた高山植物が、秋の彩へと移り変わろうとしている。
黄葉の絨毯が素晴しい。
27日/黒部五郎小屋…鷲羽岳…三俣蓮華岳…双六小屋
黒部五郎小屋の朝、美しく見事に鉢盛りされた、抜戸岳から笠ヶ岳稜線が、指呼の間に。
まさに、雄大。
薬師岳。
黒部五郎小屋からひと登りで朝日を浴びる。
背後に朝霞の笠ヶ岳。
ここらで暫し景色を楽しむ。
三俣山荘に荷物を置いて鷲羽岳を往復。
頂上からの槍ヶ岳。
三俣蓮華岳へ登り返し、双六岳へ向かうもガスの中ゴロゴロ鳴り出す。
双六岳は翌日にまわし、中間道を双六山荘へ。
28日/双六山荘…抜戸岳…笠ヶ岳
朝一、双六岳を往復して笠ヶ岳へ向かう。
ずっと槍~穂高連峰を見ながらの縦走路は、ダイナミックで爽快そのもの!
抜戸岳手前で突然、キヌガサソウの庭園に出会う。
標高の低いところで葉っぱだけは確認していたが、まさか湿地と岩とで絶妙に配置された庭園を見ることが出来るとは夢にも思わなかった。
大ノマ岳から秩父平を経て、抜戸岳への登りが始まる。
左の新穂高側は急にキレ落ちた岩壁が続く。
秩父平付近から見た抜戸岳への登り。
29日/笠ヶ岳~新穂高下山。
雲のベールがふんわりと小屋を包み、静かに音も無く流れている。
ドラマチックな黎明を目に焼き付ける為に、我々は頂上へと急いだ。
が、途中何度も立ち止まりシャッターを押した。
刻一刻と変化してゆく朝焼けのグラデーションとは対照的に、
朝日がくっきりとその尖峰のシルエットを映し出す。
モノトーンだが強烈な印象だ。
地上から空、そして宇宙への広がり。
周りの誰もが言葉を無くし、唯々、体中で感じているようだった。